2月8日、何故か出かける時にだけ大変な雨が降っていた日曜日の事です。
私は朝からずっと”衣装を持って行くかどうか”悩み続けていました。
”雨だからなー 。”
その時間、3時間にも及びます。前日貫徹してまで完成させた衣装だというのに
何を迷っているのでしょう。それは、イベントに一人で参加する、という
まだ無い経験に対する恐怖と、単純に荷物の重さでありました。
イベントに参加する事自体はゲームショウなど別途色々見て回っていますので
新野としては問題はありませんでした。私の心臓をぐっと苦しめていたのは
ネット上の情報から得られる仮装のハードルの高さでした。
それもこれも、初参加。
どこで何をすれば良いのか、現地はどれほど混雑しているのか、
100%出し切った衣装でないとバカにされるのではないか、いや。
告白しましょう。
”異常にカメラを構えた撮影班が集まってしまったら”という恥ずかしい思いを抱えていました。
実際問題、私の写真写りは凄惨の域、別人のような憎たらしい顔に写ってしまうのです。
そこにつけ、制作ばかりに注力していたため当日の当日までポージングも
全く考えておらず、だからといって断るのも忍びない。断る程、来るものだと。
誰に箔押しされた訳でもない根拠の無い自信であるにも関わらず
目立てるものなら”美しく”目立ちたい、という我が侭であります。
結局、私は衣装を鞄に詰めたのに持って行く事は有りませんでした。
(この件、酷く後悔する事になります。)
キャリーを引いて、金棒を担ぐ、鞄も持つでは傘もさせない。
初めてだし立ち回りを知ろう、などと、自分を騙すように家を出ました。
もし、読んでいる方が少しでも参加したいと思いつつ何かに気後れしているのなら、
迷わないようどうぞ、この記事を道しるべとしてください。
というわけで、いきなり会場編。
ワンフェス、正式名称ワンダーフェスティバルは
幕張メッセのホールを大きくぶち抜いて年2回開催されている大規模な
オタク系もの作りの祭典。
会場の幕張メッセまでは、近場に住んでいるかホテルを取っていない限り
歩いて5分から10分の海浜幕張駅から行く事になります。
私も昼過ぎに海浜幕張駅から歩きました。冒頭の通り雨が降っています。
雨の日には歩道橋の下を人が歩くので異様に混雑します。
完全に雨を避ける事は出来ないのですが、少しぬれてもいいなら
傘をささずに会場に到達する事は可能です。
現地についてみると、一カ所に列が出来ています。
”ガイドブック購入待機列”です。会場に入る為にはこの
ガイドブック(2000円)を購入していないといけません。
今朝の出勤中に素材を撮影する鬼 |
学校の文化祭広報誌みたいなイメージですね。
厚みはジャンプの半分くらいです。
諸注意も記載されているので、後でしっかり読みましょう。
購入すると、その先にゲートが有ります。
事前にガイドブックを購入している場合は、朝だと列が出来ているという
すぐ隣の入場待機列に直接並ぶ事になりますが、
昼過ぎには待機列は消滅していますので、あまり差は無いようですね。
何時に来るのか、何が目当てかによってお好きなようにしてください。
コスプレをする人でも、早めにきて壁際に陣取って撮影されるのを
待ち続ける訳でなければ急ぐ必要は全く有りません。
今回は私の辿ったコスプレ参加へのステップについてご紹介します。
会場にコスプレ姿で登場するままでにすべき事は3つ。
①コスプレ登録をする(無料)
ガイドブックすら初めて手に取った私が最初に行ったのは、
コスプレ登録をする為のカウンターを地図上から探す事でした。
昼過ぎには特に大混雑している訳では有りませんので、近場の壁際でガイドブックを開きます。
ガイドブックを開いて数ページで記載を発見しました。
右ページがそれ。 |
開催される時々で場所が違うようですが、今回は入場ホールと同じホール内に
コスプレ参加登録カウンターが有りました。長机に女性スタッフが2名のみの簡素な受付。
行ってみると、紙に名前と性別を書けよ、と言われるのでささっと書きます。
そして登録証というシールを受け取ります。衣装の見える場所につけろとのこと。
コスプレ登録証。シールになっています。 |
②更衣室で着替える
近くに更衣室が用意されているので着替えましょう。
今回は2月8日という真冬でしたがコート等は必要ありません。
現場は熱気に包まれているので春先の服でも歩いてたら暑いです。
私の場合は着替えるというよりも私服に金棒を持つ位だったので
上着を抜いて金棒を出して、金棒の入っていた入れ物に荷物を押しこむだけ。
着替え時間は僅か5分足らずでした。
派手なメイク等はこちらで行います。
派手でない部分だけでも家からしてくると楽になりますよ。
初参加者への注意点、というより心配ないよ情報ですが
ワンフェスは職員の教育が行き届いているので対応や印象が大変良いです、
更衣室も空きをきちんと管理してくれているので、入れないという事はありません。
更衣室内の雰囲気がガチな人しかいなさそうで心配だ、
レイヤー集団は意識高い系勘違い野郎が多くてマナーを押し付けられそうだ、
そのような心配も普通にしている分には必要の無いものです。
入ってみると解りますが、部屋の床にコスプレイヤーがポンポン陣取っている感じです。
”隣いいですか?”とか聞く必要もありません。大抵、居た場所がぽっかり空いていて
そこに座らざるを得ない、それを繰り返しているだけの空間です。
また、ボッチ参加非常に多いですよ。安心してきてください。
ただ、提供される場所は正真正銘ただの床なので、鏡が必要なら持参必須。
姿見は一枚有りますが、独占は無理です。最後に見るくらいですかね。
床におきたくなければ台かキャリーを持参するか、
壁に貼り付けられるようにするといいですね。(勿論跡形も無くはがせるように)
昼過ぎなら全く問題なく入れていくらでも作業出来ますけど、
長居しないように準備だけはしてきた方が良いです。
③クロークに荷物を預ける(1コ500円)
ソロ参加の1つの壁は、荷物の管理ですよね。
せっかくキャラ衣装を身に纏っても会場でゴロゴロキャリーしてたら興ざめです。
自分が移動するときにも、人のためにも邪魔にならないようにしたい。
ワンフェスでは、そんなコスプレイヤー向けのクロークが用意されています。
どんなサイズでも1つ500円で預かってくれます。クロークの位置は
更衣室周辺に記載されていますが、今回は同ホールの反対側でした。
歩いて1分ちょっとですので近いですね。
全ての荷物を預ける事もできますが貴重品や繊細な品は持ち歩いて下さい。
番号札で管理されているとはいえ万が一が起こっても保証されません。
まあ、間違った場合、相手には自分の荷物が帰ってこないので
(すなわち帰るための普通の服が帰ってこないので)
早々、人の荷物受け取って帰る人なんていないんですけど。
これで、完了。
案外あっさりしたもので、立ち回りがわからないよーということもありませんでした。
続いて会場の雰囲気をご紹介。
④コスプレ目線から見る会場の雰囲気
再三再四申し上げていますが、私の参加は”昼過ぎ”です。
朝はレアなガレージキットを巡る死闘が繰り広げられますため
会場内でもたもたしていると吹っ飛ばされるかもしれません。
コスプレをする人なら、徒党を組んで我先にと壁際を取りに行くのかもしれません。
初参加で朝は結構きついと思われます。
が、昼過ぎからは本当にイージーモードです。普通に歩いていられます。
上記の人々のうち、レア目当ては帰る時間なんですね。
近隣にホテルを取って5時台から並んでいたりする人々ですし
手に入れた戦利品に傷がつくのも嫌うでしょう。
私が会場に向かう道中でも、いっぱい買えたね!というような会話をしながら
帰ってゆく人が多かったです。入る人より多いくらいでした。
また、壁際レイヤーは既に壁に引っ付いてるので大丈夫です。
着替えて外に出てみると誰も自分に興味がないことが解ります。
露出の少ない男装でしたら、相当拘っていないと注目すらされません。
初参加ならば戦々恐々としているでしょうから、気持ちを落ち着けるために
最初に行ったのと同様、ガイドブックを広げて読むのもいいですね。
(ホール内は撮影禁止ですので、どんな格好をしていようと大丈夫です。)
写真を撮られる目的がなければ、単に着て歩きたいだけだと思います。
それにしたって興味のあるジャンルを見に行きたいですよね。
ガイドブックには各ブースの版権作品が記載されているので、目当ての作品を見つけて
地図に印をつけましょう。私はガイドブックを持って歩きましたが、
事前に購入しておいたり、入場時点のコスプレ登録カウンターの確認時点で
目星をつけたなら地図だけ切り取って歩く方がオススメです。
確認作業の間にも目の前をつぎつぎコスプレイヤーが通っていきます。
そう、ワンフェスはコスプレのまま会場を歩けるのです。
チラッと言いましたが、ホール内(展示物がある所)では撮影禁止なので
声をかけられる事もなく、普通に過ごせます。
写真を撮りに来ている人は大半男性で、特に露出も少ない男装では
全く興味を示されません。ネタに走っていたり完成度が高すぎるとこの限りではありませんが、
コスプレコーナーで立ち止まることはほぼ出来ないので、流れに任せてうろつけますよ。
ただ、室内にあたる場所、今回は2階にフリーゾーンが設けられていましたが
そちらは歩くだけで難があります。座り込んで写真を撮ってもらう人が両サイドにいるし、
それを撮る為のカメラ野郎たちが並んでいたりするので
こういう状態です。撮影するのに並ぶというのはワンフェスの特徴でもありますが
際限なく並ぶので壁ですよ。壁。通れる場所は狭いです。
人に密着されて困るような服装は避けたほうが無難でしょう。
足も背中もガンガン押されてましたし。細い武器だと折れるかもしれません。
それさえ注意すればホール内ではいたって快適に過ごせます。金棒担いだままでも
らくらく通行できました。何か持っているなら急旋回や方向転換には注意して下さい。
自分だけでなく相手の持ち物でも同様に注意を払いましょう。
弓矢を背負っている人などノールックで旋回されると本当に危ないのですが
やるやつは普通にやってきますから。私も入場直後に顔に当たりそうになりました。
⑤初参加&ぼっち参戦で最大の難は、ディーラーを見て回ること。
ぼっちの中にも種類はあるのですが、もし人に話しかけることが難しいなら
一番の難敵はメインであるディーラーを見て回ることでしょうね。
好きなジャンルに目星をつけて歩いて行ったとしても長机に作品が並べられているだけなんです。
当然ですが、撮影するにも一声かけるルールがあります。
その息苦しさ、必ず人が寄ってくる服屋です。
でも、見せたくて行ってるなら堂々と歩いていってみて下さい。
逆に声をかけられるかもしれませんよ。
⑥ワンフェスにコスプレしていく場合、何か1つは必ず拘れ。
先にもお伝えしましたが、ワンフェスはものづくりの祭典ですので
既製品を着たままみたいな格好は本当に自己満足で終わると思います。
コスプレイヤーはコスプレした自分を展示品として出品するのです。
壁際で撮影されている人も、ただケツを出しているのではありません。
メイクなり身体なりポージングなり、きちんと作ってきている人が多かったです。
武器を1つ作ってみる、小物1つ作ってみるでもいいのですが、
あると無いとでは持てる自信が全く違いますので、そのあたりは頑張ってみて下さい。
作りこみ力が高い人が集まりやすいのはワンフェスの大きな特徴ですし
精一杯楽しんでみてください。楽しむための努力はきっと、よい一日を約束してくれるでしょう。
⑦最後に
私は今回、鬼灯の冷徹の主人公、鬼灯で参戦していました。
”初参戦+キャラ服というよりキャラが来ていそうな私服姿+ボッチ”
というトリプルアクセルで挑んだワンフェス、最後まで誰にも声をかけられずに
終わっていくのかなあと思っていましたが鬼灯フィギュアを製作販売している
ユニオンクリエイティブさんのブースに立ち寄った際、奇跡的に写真を撮っていただきました。
【ワンダーフェスティバル2015冬】お忍びで来ていた鬼灯様!?をフィギュアと一緒に撮影させて頂きました。ありがとうございました! pic.twitter.com/hpnpn00DyI
— ユニオンクリエイティブ (@union_creative) 2015, 2月 8
私がどうこうというよりも、他に鬼灯が見当たらなかったんだと思いますが、感謝しています。ただ、フィギュアは服装が仕事服なので、ああ持ってくれば良かったと後悔もしました。
家に帰ってきて置いていった鞄を片付ける際、更に押し寄せてきてあーーーもう!ってなりました。
思えば全身、既製品1つもないので気後れする必要など1つもなかったのです。
美しく残りたい、なんて冒頭で言っておきながらこの怠慢。
相手にとってはたった一瞬の出来事でも、私のやる気スイッチを入れるには
十分過ぎる体験でした。次は極上の獄卒、みせてやりますよ。
見ている貴方も夏、いや冬でもいいんですが、
コスプレ初参加ならワンフェス(午後)オススメですよ。
人生は一度きり。どうしようかではなく、思い切ってください。
参加しないで斜に構えているうちは解りませんでしたが、
次から次にイベントやってるなんて幻想です。
心残りを1つ置いてきたら、回収するのは半年、あるいは一年後。
その間、完全に自分の容姿を保っていられますか。
やりたいことはやっておく、というのは人生の基礎かもしれません。
これからは毎度、出てみようと思っていますので。
私でよければ是非声をかけてください。
(25歳以上限定で。)